呼吸器科と泌尿器科の診察を、車椅子の母と
待っていたときのことでございます。

車椅子の乗った高齢の男性と女性が、二人の
看護師の介助で、アタクシ共の隣に来ました。

すると、やおら、女性が、杖を利用しながら
車椅子から降りて、ベンチに座ろうとされて
いました。

「あ、痛たっ、」と言いながら、バランスを
崩しそうになったその女性。

付き添ってきた看護師が、慌てて手を添えて
座らせましたが、尻餅をつくようにドカンと
アタクシの横に座りました。

もう、車椅子は使いませんから。
車椅子を操ることが出来ないので。

足がとても不自由そうで、車椅子での移動で
ないと大変だろうにと思いました。

主人はね、自分で車椅子を動かせますから。

介助してきた看護師が、車椅子を持っていく
ことを躊躇していました。

すると、事務の女性が「ご家族がいらしゃる
みたいですよ。」と声をかけました。

じゃあ、これは玄関ホールに返しておきます、
と看護師が言うと、

息子はね、今、食事に行ってますから。

その女性が答えました。

なんだか、違和感を感じました。

車椅子が必要な両親を、そのまま、看護師に
任せて食事かよ?


ほどなく、書類カバンを持ちダッフルコートに
細身のズボン、先の尖った革靴の今どきの男が、
その女性に声をかけていました。

じゃあな、仕事に行くから。

食事、済んだの?

ああ、ケアマネに電話を入れて、ここへ来る
ように行ってあるからね。
タクシーで、ケアハウスに帰ればいいよ。
それも、ケアマネに言ってあるから。

そう、有難う。


介護よりも仕事。
アタクシも、仕事は辞めずに、介護をやって
欲しいとは思います。

でも、ケアマネが来院して、両親を引き渡し、
それから、仕事へ行ってもええんとちゃう?


介護を理由とする離転職者が年間10万人超と
いう事態を受けて、介護離職ゼロを掲げる、
政府は今年、介護休業制度の見直しに乗り
出すんだそうです。

予約なしで、突然の外来かもしれませんが、
両親とも、不自由な方なんですから、せめて
ヘルパーさんを手配すればと、お節介なオバ
ちゃんは思いました。

雑誌か新聞かで、福祉関係の仕事をしている
女性が、仕事か介護かと選択を迫られたら、
介護を捨てて下さいとかの見出しを見ました。

介護を捨てるのはよしです。
でないと、離職者が増えるばかりです。
だからと言って、受け皿を作らずして、捨て
ないで下さいね。

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また、東京は雪が降るそうです。

皆様、お風邪を召しませんように。