アナタ、これを見てちょうだい。

今日の母は、車椅子に座らせられたままで、
両足をベットの上にあげていました。

手術した左足は、いつも浮腫んでおりますが、
右足にも浮腫みが見られました。

ここは、アタシの足をこんなにしてしまった
のよ。

そして、やおら、小声になり、申しました。

アナタが来るとね、アタシ、苛められるの。

そうなんや。
だったら、面会に来なくてもいいねんね。
明日から、来ないから。

あ、あ、それは困るわ。


毎日、病室に顔を出すのは、アタクシだけ。

他の皆さんから、いいわねと言われるのが、
母には苛めとなるのでしょうか。

認知症における「ひがみ」や被害妄想を持つ
ことは、本能的に生命を守るための行動とか。

身体的に不自由になり、危険に対処する能力
欠落し、常に危険を避けようとして被害妄想
になるのだそうで。


「ひがむ」のも、そういった自己防衛本能の
なせる技かも知れません。
他人の気を引いて自分の安全を確保しようと
している心理が働くのでしょう。

母の場合、そんな高尚なことではなく、単に
元来の性格ではないかと思えます。

023


夜中に母は何か食べる物はないかと聞くのだ
そうです。

「だから、ご飯はちゃんと食べて」というと、
夜中にそんなことは言わない、それは作り話
だと真顔でいう母。

作り話と言い放つ能力は、あるんだ・・・・。