基本、母には自由がない。


母の施設は、午後1時過ぎに着くように行って
います。

何故なら、3時前におやつを出しにして、帰る
ことを口に出来るからです。

そろそろ、おやつだからね。
食堂に戻りましょ。で、アタシは帰るから。

おやつという食べることに、気がそそられて、
一緒に帰ると言う確率が低くなります。


施設の母のユニットに着くと、椅子に座って、
母は食後のウトウトの最中。

在宅のときは、食事が済むとそのまま、寝て
おりました。

母はベットの中で暮らしていましたので。

アタクシは、母の居眠りを利用して買い物に
行っていたこともありましたっけ。


ママ!

と声をかけると、スッと首を起こし、さも、
居眠りをしていなかったという態度をします。

だから、寝てたのね、とは口には出しません。


母に声をかけてから、ジローをナデナデ。

すると、いつも母がKさんに言っています。

娘は、アタシより、犬の方が大事なの。

その通りですから、あえて、ちゃうよとは、
申しません。

しばらく、食堂でお話をして、居室へ行き、
1時間弱、母と一緒にいます。


じゃあ、と母に告げると、毎回、申します。

アナタが帰っても、アタシはここに居るわ。

これは、母の実際の気持ちだとは思うのです。

しかし、車椅子も自分で動かせない、ナース
コールも押せない母は、昼間、食堂に居る他
ありません。


要介護5で、徘徊も出来ない、ただ、寝ている
だけになり、さらに穏やかな爺様になったから
と在宅介護を選択した介護友の方がいます。

寝たきりとは言え、自宅という自由があると
思うのです。

施設の限られた人数のスタッフさんがお世話を
するには、まとまって一箇所にいるほうが、
何かと都合がいいもの。

アタシはここにいる。

そう言われると母の自由を奪ってしまっている
のかもと思えるのです。

じゃあ、在宅介護をすれば・・・。
否、それは、もう、やりたくない。

だから、このままでいいのだと、自分に言い
聞かせつつ、母に告げるのです。

じゃあね・・・。

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