アナタ、いったい何をしに来たのよ。
アタシの迎えでしょ。
支度しなきゃなのに、犬なんか、構って!

施設で、母と一緒に居る犬達が、ようやっと、
アタクシを認めてくれるようになったのに。

おっかさんは、そうやって、ギャンギャン、
言えるけれど。

ワンコ達は、何も言えへんねんよ。
ただただ、撫でて欲しいって寄ってくるやん。

この子達は、アタシに興味はないのよ。

ほら、そうやって、すぐに拗ねる・・・。


母が認知症を発症したとき、我が家には当時、
5歳になるオスのM.ダックスがいました。

それまでは、彼にとって頼るべきボスは、母、
でした。


なんで、犬に先にご飯をあげるのよっ!
人間の方が先でしょ。

或る時、夕食の支度をしているアタクシに、
母が怒鳴りました。

だって、母はよく言ってました。

アタシは後でいいから、ブーケ(飼い犬の名前)
に先にあげて頂戴。


ドックランへ車で行くとき、母はいつも、彼を
先に乗せてからドアを閉めていました。

ところが、さっさと乗り込み、慌てて乗り込もうと
した彼の鼻先で、バンッ!とドアを閉めてしまい
ました。

危うく、彼は挟まれそうになりました。

次第に、彼は何か危険を感じるとき、母よりも
アタクシにすがってくるようになりました。

彼も母の認知症発症がわかったのかもしれません。


施設の犬達も、一緒に暮らしている入所者の
ことをよく理解していると思います。

犬達、特に、文福は、時々、椅子に座っている
母の手を持ち上げて、撫でで、触ってという、
仕草をします。

母とアタクシが、母の居室にいると必ず、やって
きて、母の車椅子の周りを回って出ていきます。


おっかさん、ただ、アータが犬達のシグナルを
覚えていないだけなんよ。


なんせ、母は、居室にいるときに犬達の鳴き声が
すると、目をまん丸くして、申します。

まあ、ここには犬がいるのね!


pho


在りし日のブーケ。

M.ダックスなのに、体重が13Kありました。

彼の大好きなジャーキーを際限なくあげており
ました。

太り過ぎは心臓に負担がかかるからと説明しても、
駄目でした。

ブーケはその通り、突然の心臓麻痺で虹の橋へ。


施設の犬達は、飼い犬も含めて、体重チェックを
厳しくされながら、暮らしています。