mikku

施設(特別養護老人ホーム)の母のユニット
には、6匹のワンちゃん達がいます。

雑種で中型犬の大喜と文福、M.ダックスの
ジロー、キャバリアのナナ、トイプーののココ、
最後はマルチーズとヨークシャテリアとの
ミックスのミック。

ミック君のお母さんは、リュウマチで身体の
自由が効かず、ミック君と一緒に入所され
ました。


母がリビングに居て、アタクシが隣に座ると、
すかさず、ミック君が抱っこしてと膝に手を
掛けてきます。

抱き上げるとしばらく、アタクシの膝の上に
いて、三婆らを見渡しています。

ミック、いいねえ。抱っこして貰って。
あたしは、抱き上げることが出来ないからね。


入所当初のミックは、ボンレスハム状態に
太っていました。

今は、施設のスタッフさんの厳しい食事管理で
前胸の骨格がわかるようになっています。

あら、少し前は、ちょっと太っていたけれど、
体重が減りましたね。

そうなの、リーダー(スタッフさんのこと)が
うるさくてねぇ。
食べさせてはいけないっていうのよ。

聞くところによると、ミック君のお母さんは、
○BC レモンパックのレモンクリームを舐めて
クラッカーだけをあげていたのだそうで。

それを見付けたスタッフリーダーさんが、少し
キツイ言葉で注意をしたとか。

クラッカーだけならいいと思うんだけれど。

F子(ミック君のお母さんのこと)さん、それは
アカン!
クラッカーはワンコには、高カロリーであっと
いうまに太りますよ。

すると、いつもの流儀について、母が言い出し
ました。

短い人生だもの、美味しい物を食べさせたいわ。

おっかさん、それがアカンねん。

そうやないんよ。犬も太ると心臓のまわりに
脂肪がついてしまい、突然死するんよ。

F子さん、うちで飼っていた子も、13Kという
体重で、9歳で死んでしもたんよ。
ミックが、短命ではいやでしょ?

それは、わかるのよ。でもねえ、あげたくなる
のよね。

そうそう、あげたくなる気持ち、よくわかる。
でも、今は、ワンコ達も10年以上は生きられる
んだから、生かしたいよね。

それを、聞いていたいた母は肩をすくめました。

ブーケにジャーキーをあげたがる母に対して、
ガンガン、怒った時期がありました。

その都度、母は言っていました。

短い人生だもの、美味しい物を食べさせたいわ。

アタクシは違いました。
あと、最低+5年は生きただろうに。
獣医師から体重を落とさないと、命にかかわる
と言われていたのに。

004

ジッと、アタクシ達の会話を聞いていたヒデコ
さんが、ぽつりと言いました。

あたしは、美味しい物を食べて、短いほうが
いいわねえ。