アタシ、木偶の坊になっちゃた

この頃、母が言うようになりました。

今日は、午前中に面会に行き、いつものように
洗濯をしてきた衣類を片付けていました。

更に、どうせ、母は地上波しか見ないだろうと、
それ用のアンテナケーブルを付けてありました。

「家族になろうよ」を見ることが出来るように
とアンテナ分波器を付けていました。


アナタ、そういうことも出来るのね。

そう、アタクシは、ずっと、こういうことも、
やって参りましたわよ。

その間にも、言われました。

アタシ、木偶の坊になっちゃった。


おっかさん、木偶の坊で結構。
むしろ、ボーっと生きててええねんよ。

012


さぁ、お昼ご飯よ。リビングへ行こうね。

アタクシは帰るために、母に声をかけました。

まあ、ご飯なの?、楽しみだわ。

車椅子をテーブルの前に付けると、母の関心は
もう、食べること。

はい、それでは、帰ります。


バス停へ向かいながら、ふと、テレビを一緒に
見るということも有りだったかもと思いました。

いやいや、鬼娘のアタクシは、そんな長時間、
母と過ごすより、独りで見ます。