アタクシの顔をみるなり、母が申しました。

あのね、アタシ、朝から何も食べてないのよ。

はぁ、おっかさん、それはあらへんで!
ここは施設なんよ。何をどのくらい食べたかは
記録されてるんやから。

そうなん?、食べてると思うよ。

認知症初期の母ならば、そう言っても、絶対
違う、食べていない!と言い張ったはず。

しかし、今日の母は違いました。

そう、食べたの?、アタシのトンチンカンね。

ま、アッサリと受け入れました。


その後も、へっ?!というようなことを申し
ました。

ここは、なんという宿屋なの?
でも、どうして、犬の鳴き声がするの?

ここは宿屋ではないんよ。
病院なんよ。あのワンコ達はママより、先に
ここにいるんよ。


何も食べていないと言うことや、自分の居る
ところがわからないこととか、今日は少々、
居所が悪いと言うか、症状が進行したというか。

010

ここが終の棲家、とは、鬼娘でも、言えなかった・・・。