アタシはいつ、家に帰れるの?

母にそう言われるたびに、せっせと、老健へ
の入所の話を致します。

老健を家に帰るためのトレーニングの病院と
言って、誤魔化しています。

アタシね、家に帰ったら、畳みの上で、足を
思いっきり、伸ばしたいわ。

うちには和室はあらへんで。フローリングに
ベットやけど。

そうやねと言っておけばいいものを、つい、
母の希望を潰してしまう鬼娘。


もう家には帰ることはないと思うと可哀想な
気も致します。

アタシの家のお隣は、お医者様だったわね。

母が育った家のお隣はそうなんですが、現在
はそうではありません。

これもまた、そうやと肯定すればいいものを、
否定してしまいました。


言うことに対して、否定せず、肯定すること。

些細なことでも、訂正したくなるのです。


007


子供の頃の家の記憶しかないなら、それが、
一番かなと。

更には、アタクシのことも忘れてもいいと、
この頃思ってしまいます。

老健入所を前にして、とても複雑な思いです。