昼食を済ませた母を、車椅子で居室に連れて
行くと、

ご飯、美味しかったわ。
薄味なんだけれど、塩分も感じるのよ。

今日は、なんだかご機嫌がよござんす。


でも、会話の内容は、いつもと同じ、

ここは、窓から緑が見えていいわね。

そうやね。
窓の向こうが、ビルだとかマンションより、
山が見えていいよね。


お腹も満たされて、気持ちも穏やかになった
からでしょうか。

こうやって、アナタも頻繁に来てくれるから、
ここで、ゆっくり出来て有難いわ。

おんや?
一昨日に面会に来たことを憶えてるんかいな。


ユニットリーダーさんから、言われました。

この頃、帰りたいとおっしゃらないんですよ。
慣れてこられたのかもしれませんね。


いやいや、おっとどっこい、今日のところは、
機嫌がいいだけで、また、豹変するかと思い
ますわ。

「迎えに来てくれたのね、一緒に帰る。」と
言い出しかねません。

認知症になると、殆どを忘れてしまいます。
嫌な気分になったことの内容は忘れてしまい
ますが、「嫌な気分」だけは覚えているそう
ですから、今は、そういうことがないという
ことでしょう。

003

今日は、強風で車のハンドルを取られそうに
なり、いつもより速度を落として行きました。

着いたときは、母の昼食が始まっていました。

部屋で片づけをするからと言って、母の後ろの
ほうで、食べる様子を観察していました。

一口食べては、「美味しいわ。」とスタッフ
さんに声をかけて、全部食べきっていました。

スタッフさんから、言われていました。

あら、みっちゃんさん、トマト、嫌いなの?

違うのよ、トマトは酸味もあるけれど甘味も
あるでしょ。最後に食べようと思って。

えっ!?
トマトは酸っぱくて嫌いと食べなかったのに。