施設に居る母は、日中、食堂で過ごしています。

何故なら、ナースコールを押すことが出来ない
からです。

出来れば、車椅子での移動でも居室で過ごす
ことは可能なのですが。

居室で過ごすのは、寝るときと、アタクシが
行ったときだけです。


居室に母を連れて行き、足をマッサージして
いると、必ずやってくるのは、犬の文福。

母の車椅子を周回し、居ることを確かめると、
部屋を出て行きます。


先日、いつものように母の足をマッサージして
いると文福がやってきました。

周回するのかと思っていたら、母のベットに
ポンッと上り、寝転んでおりました。

すると、母が申しました。

この子はどこの子なの?

おっかさん、文福はいつも食堂でそばにいる
やんか。

母へのマッサージが終わると、文福はアタクシの
膝にベットから移動してきました。

そして、顔は母の方を向け、アタクシには背中を。
マッサージをしろと言わんばかり。

はいはい、それじゃあ、お背中、マッサージを
致しましょ。

母が言うには、ウットリとした表情をしているとか。

お坊ちゃま、この辺が気持ちよこざんすか?

この施設のなかで一番大きな犬の文福。

文福、重いんですけれど。

すると、身を捩って、アタクシの顔をペロリ。


次に、母の手の下に鼻を入れ、手を持ち上げ
ました。

まあ、いい子いい子しろっていうわけね。
ねえ、この子、お持ち帰り出来ないの?

文福はここに居る子だからね。


今、母が何をしているのかを、ちゃんと見て、
理解しているようでした。

あの子はアタシより賢いわね。

001

笑顔が少ない母娘の会話。

文福のおかげで、母もご機嫌で饒舌でした。

場を読むのが上手な子です。