一時、「帰りたい。」と言わなかった母が、
このところ、アタクシの顔を見るなり、また、
申すようになりました。

迎えに来てくれたね。
アタシ、帰る支度をするから。

明日はね、お医者様の健診の日やから、今日は
ママはお泊りなんよ。

母にとって、「医者」は重要な言葉なんです。
まだまだ、長生きをするようでございます。

で、これからのアタシの予定は何なの?

だからぁ、さっきも言ったやんかと言いたく
なるのを堪えて、

ママは、つい最近、熱を出したから、様子見
をせんとアカンねん。

今、外は、蒸し暑いし、そうかと思うと夜が
寒かったりして、あたしですら、調子が悪く
なるくらいなんよ。

そんなところで、生活したら、また、昨年の
ように肺炎で入院することになるかもしれんよ。

ここは、室温が一定で、快適な環境やから、
滅多に病気にならへんよ。


病気とか入院とか、言って脅しをかけると、
シュンとして諦めます。

どうも、死にたくないらしく、死んでもいい
からと言わないだけ有難いかな、なーんて思う
のでございます。

008


トイレへ行きたいから、歩いて行くわね。

と、食堂に座っていた母が、申しました。

すると、スタッフさんが、すかさず、

みっちゃんさん、お待ちくださいね。
今、お車でお連れしますから。


「お車でお連れする」と言われて、母が素直に
座りました。