面会に行く度に、母は同じことを申します。

あら、よかった!、迎えに来てくれたのね。

そうやないんよ。顔を見にきただけや。


母のところへ車で行っても、母に帰ることを
諦めて貰おうとして、言います。

今日は、電車だからね。

すると、この頃、母は畳みかけるように言う
ようになりました。

大丈夫よ。歩いて帰るから。


食堂から母の居室へ行っても、帰れない理由を
再度、聞かれますが、同じことを繰り返すのです。

アタシ、歩けるもん。

母は本当に歩くことが出来ると思っているかも
しれないと、アタクシは思っていました。


或る日、アタクシが帰ろうとしたとき、ココ
君のお母さんが母に言いました。

このまま、一緒に帰ればいいじゃあない。

普通に歩けるココ君のお母さんにしてみれば、
なんてことない、ことなんですね。

だって、アタシ、膝が痛くて歩けないから。

おっかさん、なんだ、歩くことが出来ないこと、
わかっているんだ。


母は認知症を発症する以前に変形性膝関節炎で
歩けても、ほんの少しの距離でした。

「歩けるもん。」と言うのは、膝が痛いことも
忘れてしまったからだと思っていました。

そうではなく、単に愚図っていただけ。

帰りたいという押し問答をするのが嫌だった
のですが、歩けないことをわかって言っている
のなら、言わせておきますか・・・・。

003

明日は、母のところへ行く予定です。

暑くてウンザリするけれど。

在宅介護に比べれば、暑いだけなんですから。