鬼娘のアタクシは母の認知症が進んで欲しいと
この頃、思うようになりました。

このところの母は、自身が言う通りの頓珍漢、
つまり、話が理解出来ないことが多くなって
きました。

母は、話が理解出来ないとなると、いきなり、

ところで、家は変わりないの?

と、遮るのです。

変わりないって、家を売却するんですから、
変わるのでございます。

結果、アタクシは家を畳むというような話を
母にしてしまうのです。


すると、母は、

アタシは、長生きし過ぎたわね。

そうやね、おっかさん、その通りやけどね。

アタシだって、早く死にたいのよ。

母は叫ぶように申しました。

アカン、また、言わせてしもた・・・


そそ、今日の面会の際の話が、毛布を何枚も
捨ててしまい、敷布団も8枚有って、それも
捨てるということでした。


死にたいと言われると、アタクシは何と言え
ばよいのか、返答に窮するのでございます。

そんなこと言わずに長生きしてや、と言えば
いいのでしょうが、すっと、口から出ません。

それを母もまた、感じるのかもしれませんね。

いつ、死ぬかなんて、神様が決めることなんや
から。


これ以上の話をしたくないと、お昼寝で横に
なっていた母を、おやつだからと起こしました。

アタシ、おやつ、要らない!
ここで、アナタと話がしていたい。

いやいや、おっかさん、また、死にたくない
なんて言い出されても困るから。


むりくり、部屋からリビングに連れ出しました。

秋分の日の今日のおやつは、おはぎ。

まあ、久しぶりにおはぎを食べたわ。

母の大きな声がリビングに響きました。


早く死にたいと叫んだことは忘れていました。

そういう話題を出したアタクシがマズイので
しょうが・・・。


無表情で何も話をしない認知症後期の入所者の
ご家族が来ていました。

おはぎを食べている、その母親のそばに座って
スマホをスクロールされていました。

それをみて、羨ましいと思う鬼娘のアタクシ
でした。

005

我が家の金木犀にも花がつきました。

なんだかんだと、時は確実に秋になっていた
んですね。