掛布団を風に飛ばされた日の夜は、3ヶ月に
一度の女子会でした。

この顛末を聞いた友人に、ガハハと笑われて、
言われました。

あんずさん、何かを期待したでしょ。


山の上というか、崖の上の部屋を選んだのは、
見晴らしがいいこと。

まさか、強風の日々が多く洗濯物を干せない
なんて、思いもしませんでした。


それでも、ちょっとだけと敷布団と掛布団を
干したアタクシ。

さいざんす、アタクシが悪うござんした。


風に飛ばされた掛布団は、隣地の崖の中腹に
ありました。

そのままにするわけにもいかず、管理会社から
教えられていたサポートセンターへ電話を入れ
ました。

電話口に出た女性に説明したところ、消防署?
警察?と、事が大きくなって参りました。

しばらく、お待ちくださいと、どうも、電話の
向こうでは、どんなもんだろうと話をしている
ようでもありました。

そこで、提案されたのが、市役所の相談室。

そうなんやね、当直のオッチャンは来てくれ
へんねんな。


柵越えなんて、ちょろいもんよ。

何故ならならば、子供の頃から塀に上ったり、
鍵を忘れて、家の二階によじ登り、窓から
入ったこともございますからね。

しかし、崖をオバチャンが行くとなると・・・。


一応、市役所の相談室にも電話をしました。

ひょっとして、という淡い期待を込めて・・・。

それも、自分で崖の中腹へ行くことを決行する
と伝えました。

ただ、下の特養(特別養護老人ホーム)の窓
から見て、びっくりされないかと言いつつも。

すると、相談室の男性は、特養の事務所に説明
してはどうかと言いました。

そっかぁー、崖にある布団なんか、取りに来て
くれへんよねえ。


下の特養へ行き、事務所のオジサンに場所を
指差して、アタクシがやろうとしていることを
説明しました。

大丈夫ですか?と言われたものの、無反応。

そうやね、20代の女性でなく、オバハンやもん、
手助けしてくれへんよね。


期待したアタクシが、馬さん鹿さんでした。

こうなったら、自分で取りに行くきゃない!!

柵越えに、崖の中腹を行くのに、運動靴がない。
そこで、五本指の靴下を用意し、借りている
部屋の真下にある立ち入り禁止区域へ。

現場を見ながら、頭の中でシュミレーション
しておりました。


そのとき、アタクシはひらめきました。

取りに行くより、いい方法を!

先日、購入した4m弱の物干し竿。

その先端にクリーニングのハンガーを伸ばして、
ガムテープでグルグル巻きに。

お隣はお留守でしたので、そのまま敷地内に
失礼して入らせて頂きました。

そして、その物干し竿を使い掛布団のカバーを
引っ掛けて手繰り寄せて引き上げました。


自分でやるっきゃないと思うことで、窮余の
一策が出たもので、人を頼るよりも早かった
とも言えましょう。


ガハハと笑った友人が申しました。

あんずさん、よく引き上げられたわね。

だって、羽毛布団だったんだもの。

013