まあ、美味しそうなお菓子!
それに、この包装、ピンクで可愛いじゃあない。

母がお菓子の缶の包装に気を取られていました。

じゃあ、写メを撮ろうと構えたところ、横から
アッと言う間に手が出て、ハート型のクッキーを
抜き取って、食べ始めていました。

すると、前に座っていたココ君のお母さんの手が
にゅーと出てきて、

あら、ほんと、美味しそうね。
私も食べたい。

えーっ、そのハート型のクッキーが無くなって
しまう、インスタ映えに出来ないやん!

京都の村上開進堂の東京店、「山本道子の店」の
もの。

美味しい物が、物からやってくる、稀有なobaji
お姉様から頂いたもの。

母と同じ時期にお母様が骨折されたのですが、
施設ではなく、在宅介護をされている先輩。

お母様とご一緒に召し上がれ。

で、その通り、一緒にと思ったところ、婆二人、
花より団子で、クッキーから召し上がる。

ココ君のお母さんは、

これ、美味しいね、もう一個頂戴。

そそ、ココ君のお母さん、このところ認知症が
一気に進行してしまっております。

一週間に一度、施設(特別養護老人ホーム)の
イベント、「喫茶店」にお手伝い下さる外部の
ボランティアさん達がビックリするほどなんです。

そのココ君のお母さんが、一緒になって食べて、
会話に参加されている・・・。

そのお代わり、アタクシの分なんですが・・・。

これはね、村上開進堂って京都にあるお店の
ものなんよ。

まあ、だから、美味しいのね。

京都?、じゃあ、今度行ったら買って帰ろう!

そうやね、それがいいね。

すると、お茶を入れてくれたスタッフさんに、母が、

先生、おひとつ、どうぞ。

そう、母も、名前がわからないとすべて、先生と
呼びかけます。

そのスタッフさん、小さなメレンゲを口に入れて、

みっちゃんさん、有難うございます。

と言ってくれました。

母も、気を良くして、メレンゲを口に入れ、

甘くて美味しいわね。先生、もう一つ、どうぞ!


認知症の二人の婆様達は、このお茶会に満足した
ようでした。

クッキー、食べ損ないました。

ま、東京に出たときに買ってくればいいんだから。


無表情になっていたココ君のお母さんが、息を
吹き返して、アタクシは少し嬉しくなりました。

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(クッキーが無くなったメレンゲだけですが・・・)


このココ君のお母さんも認知症の症状の進行が
母より早い。

寝たきりになるのも、母より先でしょう。

それにしても、うちの母。

症状の進行はカメの速度でございます。