母の施設(特別養護老人ホーム)ユニットでは
午後5時半ともなると夕食の配膳が始まります。

平日の面会は水曜日を除いて、午後4時から
集団リハビリがあり、アタクシの都合がつけば
母を連れ出しています。

だもんで、アタクシがユニットを出て帰ろうと
するときは、施設の夕食となります。


その日も母の部屋を出て帰ろうとすると、もう、
母の前にお膳が出ていました。

すると、ココ君のお母さんが珍しく大きな声を
出していました。

アラ、あたしのご飯はまだなの?

へぇー、母が入所したとき、同じことを言って
いましたっけ。

ココ君のお母さんより、激高して叫んでました。


ココ君のお母さんは、認知症が進んでしまい、
食べ方を忘れてしまっています。

ミック君のお母さんは、歯が不自由なので、
きざみ食。

母は、普通食を介助なしで食べるので、先に
配膳されるのです。


母の声がしました。

大丈夫よ、あなたのご飯が出てくるまで、
食べないで待っててあげる。

テレビの方を向いていたココ君のお母さん、
食卓へ向かうのに、椅子を動かさねばなら
なくなり、スタッフさんが、声をかけて
いました。

しかし、認知症の進んだココ君のお母さん、
どうしてよいのか、わからずにいるよう
でした。

すると、母が、口で応援していました。

ほら、そのまま立ち上がってんのよ。
そそ、しっかりね、テーブルを掴んで!
身体をね、ちょっと右に動かすのよ。


もう一人のスタッフさんが、食事の介助を
しながら、笑って言いました。

みっちゃんさん、冴えてるぅ~


記憶力はだんだんと落ちてきていますが、
このしっかりさ、なんなんでしょうか。

ココ君のお母さんのように、他人のお膳が
先に出ると激高し、お膳が下げられると、
まだ、食事をしていないと言い張った母。

それが、お膳が揃うまで待つ、なんて、在宅
介護中もなかったのに。

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こんな美味しい物が頂けるなんて幸せよね。

いつものように、アタクシが面会に来たことを
忘れていました。


母の毎日がその言葉に出ているようで、心が
少し痛みました。

食事を介助中のスタッフさんに、こっそり、
挨拶をして、ユニットを出ました。