事件になった原因は、ケアハウスの大前提である
「自立していること」にありました。

登場人物は、お節介なところがあるシードさんと、
その、お節介さを利用したBLACKさん。

BLACKさんは認知症気味だけれども、ずる賢さが
あります。

口癖のように、「あたしは、ここを出されて
別のところへ行かされるのよ。」というBLACKさん。

彼女が考えた「出されない」方法とは?
一階の事務所にわからないようにしようとした
ことです。


シードさんが、食器を戻しに食堂へ来た帰り、
BLACKさんの部屋の前を通りかかると、中から
誰かを呼ぶ声がしたそうなのです。

どうしたのかと、隙間から覗いてみたところ、
BLACKさんがベットから起き上がれなくて、手を
借りたがっていたのだそうです。

基本、手を貸すことはケアハウスでは禁じられて
います。

そこで、シードさんは、ドアを開けたまま、中に
入ったそうです。

顔色が紫色っぽく見え(シードさんいわく)、
如何にも具合が悪そうだったとか。

「緊急ボタンを押しましょう!」というと、BLACK
さんが押さないでくれと言うからやめたのだそう。

トイレへ行きたいというBLACKさんを1人で抱える
ことが出来ないので、通りがかった人に声をかけ、
手伝って貰い、便座に座らせ、シードさんは、
一階の事務所へ人を呼びに行ったそうです。

職員と三階の特養に常駐している看護師さんと
二人が駆けつけ、そのまま、病院へ。

昨日、シードさんはケアハウスの相談員さんに
呼ばれて注意を受けたとのこと。


あんずさん、やっぱり、手を出してはいけない
って、言われちゃったわよ。

あのとき、中まで来て手伝ってくれた人の他に
二人の人が、冷たい目で見て通り過ぎてった。

そうなのね。ということは、BLACKさんが嫌だと
言っても、緊急ボタンを押すことなのね。

そうそう、BLACKさんは、私を利用したってこと。


「自立していること」は、緊急ボタンを押せる
ことなんやね。

困っている人を助けるのが当然と思っている
シードさんにとっては、注意を受けることが、
悲しかったようでした。


あんずさん、食堂では挨拶だけにしようね。
何かあったら、電話するから。

ケアハウスというところはそんなもんなんです。

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