ケアハウスの住人の一人、シードさんとお茶をしに
出掛けました。

シードさんは、悪性リンパ腫を患っておられます。

一度は寛解したものの再発し、抗がん剤を服用。
ところが、あまりの副作用に服用を中止されました。
それでも、今のところは安定した状態です。

ところが最近、別の臓器にガンが見つかり、手術を
受けました。そして、なんと8月末には再手術。
これまた、なかなかの最悪状態。

そんなシードさん、なんです。

少し気温が下がったある日、
自室に引きこもっていては、気分も晴れない
だろうと思い、

100均へ行く用事があるの。一緒に行かない?
と、お誘いしました。

二つ返事で承諾してくれ、バスに乗って、駅前の
商業ビルへ。

100均でそれぞれ買い物を済ませ、最上階にある
イートインでケーキセットを注文。
しばし、おしゃべりを楽しみました。

すると、シードさんが突然、ナプキンを手にして、
腰を浮かせ、そわそわし始めました。

どないしたん?

シードさんの視線の先を見ると……
お隣のテーブルで商談をしている男性二人組に。

だって、あの男性のおでこ、汗が吹き出ているの。
これで拭いてって、渡してあげたい。

えっ?

アタクシ、驚いてお隣の男性を見る。
見ると、背広の中にはベストまで着ているでは
ありませんか。

そういえば、お隣のテーブルには、まず男性が
一人で来て、誰かを待っていたっけ。

そっかぁ。
時間に遅れてきたってわけね。

ワイシャツ姿では相手に失礼だからと、慌てて
背広を着た。その結果、汗が大汗になった……

ということなのでしょう。

いやいや、シードさん。それは、やり過ぎよ。
しかも、商談中ですからね。

アタシって、余計なことばかりしちゃうのよね。

シードさんが、ぽつり。

そこが、シードさんのよいところ!
アタクシは、そう思うのです。


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